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ミックス/マスタリング解説(ピアノ編)

 どんどんミックスの解説をしていきたいと思います。参考音源はこちらです。

今回はピアノ編ということなのですが個人的にはピアノを曲の中で使う用途は二種類あると思います。

 一つ目がフレーズを聞かせる。ピアノをオケのメインとして使う場合ですね。この時にはいかに他の楽器とのぶつかりを防いでオケの中で目立たせるかが勝負になってくると思います。

 二つ目が音埋めに使う。あくまでピアノはコードを鳴らすだけでメインはギターやシンセの場合です。コンプでがっつり潰して, リバーブやディレイでオケを後ろから包み込むような処理が求められます。今回の記事ではこの二つ目の用途。「音埋め」という部分に着目して話を進めていきたいと思います。

MS処理できるEQ(Pro-Q2)→EQ(Air EQ)

【代替案】

MS MatrixでMidとSideに書き出した後, 各トラックにREQ→Q10

 安心と安定と信頼のPro-Q2様です。こいつがいないと僕の作業は進められません。主にはマスタリングの時に使っているのですが何が便利かというと, こいつMS処理ができるんですよ。しかも他のMS処理できるEQと違うのは位相のズレがいい感じに起きて適当にいじっているだけで広がりと奥行きが出てくることです。空間系とはまた違った奥行きを作れるのは重宝します。

 さて, ピアノのメインの音域は300-400Hzにするとスケッチに書いていました。なので300-400HzのS側をQ広めで4dbほど豪快にブーストします。今回ピアノは音埋めに使いたいのでとにかく広い空間にピアノを広げていくのが一番最初の目標です。しかし広げていくときにぶつかりやすいのがボーカルとスネア。なのでM側の150-250Hz, 600Hz辺りをカットします。これで周りを包む感じを残しつつM側の楽器には迷惑をかけないという構図が出来上がります。

 次に普通のEQです。MSEQを使うと広がりが得られる分, 音の芯がぼやけてモコモコとしてしまいがちになります。なのでもう一度, ボーカルやスネア, ベース, キックと被る帯域をカットしていきます。ピアノは厚みを出したいのでハイパスをあまりかけたくない気持ちもわかるのですがここは容赦なく行きましょう。低音域が残っていると後でリバーブを書けたときに膨らみ過ぎて他の楽器を圧迫してしまいます。低音の厚みはリバーブに任せましょう。フレーズを聞かせるピアノであればハイをブーストしたりコンプでアタックを目立たせたりするのですが, あくまで今回はピアノは支え役です。ボーカルの美味しい高音やスネアのアタックを邪魔しないようにハイはおとなしくしておきましょう。

 後はセンドでディレイとホールリバーブをかけて終わりです。基本的にボーカルにかけたのと同じものを使っています。その方が空間の統一性がでて変な浮きを防げます。

 後, 今回はやってないんですが僕がピアノによく使う裏技中の裏技をお教えしようと思います。たまたまできた遊びの産物なので多分どこの本にもサイトにも載っていないと思いますが, 結構使える手なのでぜひ試してみてください。(ピアノがステレオの時に限ります)

① トラックを複製する

② 複製したトラックの位相を反転する

③ 複製したトラックにwaves S1 imagerを挿してWidthを1.25くらいまで上げる

④ 複製したトラックの音量を6dBほど下げる

⑤ 元のトラックと複製したトラックを合わせてステレオで書き出す

 というような感じです。音の波と波が干渉しあっておもしろーい空間が出来上がります。これをするだけで他の楽器と被らない奥行きのあるピアノができます。嘘だと思う人も騙されたと思って一回やってみてください。何を思ってこんなことを試してみたかというと, ONE OK ROCKさんの「アンサイズニア」の一番最初に流れてくる, 飛び出すようなドラムの音を再現してみたいと思いいじった結果がこやつです。この方法はボーカルにもかなり使えます。ボーカルが埋もれてしまう~という方も是非。

 以上がピアノ編でした。僕の奥の手をさらしてしまいましたが読んでもらえるのが嬉しいので良しとします。

 次回はエレピ編になります。

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