ミックス/マスタリング解説(エレピ編)
解説シリーズを始めて一週間。500人もの方に読んでいただけて嬉しい限りです。本当にありがとうございます。Twitterなどでコメントを頂けると更に喜びますので良かったらリプ送ってやってください。
今回の記事は前回のピアノ編と似たような感じになってしまうのですがエレピ, オルガンといった楽器のミックスを解説させていただこうかと思います。参考音源はこちらです。
ピアノとエレピの曲の中での使い方の違いなのですが, ピアノは包み込むように奥の方からどっしりと構えさせる。つまり奥行きの中でも後衛を担当させます。エレピは逆に手前に飛び出させて空間を作る。つまり奥行きの中で前衛の担当です。こうすることで更に曲の立体感を増すことができます。ゆえにコンプの使い方がキモになってきます。今回はコンプの使い方に注目して解説を進めていきます。
最初はエレピその1(イントロやサビでRから流れてるやつです)
音作りEQ(UAD NEVE 1073)→EQ(Air EQ)→コンプ(PRESSWERK)
【代替案】
V-EQ4→Q10→Rcomp
EQについてはローを削ってハイを上げるという基本的な処理です。なるべく音を手前に飛び出させたいので8kHz辺りの倍音をブーストしています。
肝心のコンプです。アナログコンプ(1176のような)の音が僕は好みなのですが, アタック感を強めてはっきりと手前に出してきたいというときにはデジタルコンプの方がクリアーな音が出るのでおススメです。アタック20ms, リリース20ms, レシオ1:4, ゲインリダクション3dbくらいです。このコンプは出音のアタック感が元々強いのでアタック20msくらいですがRcompだと40msくらいがいいかなと思います。大切なのはゲインリダクションの量です。これを決めるのにスレッショルドとメイクアップゲイン, リリースのつまみを長い時間細かくいじいじします。ボーカルとぶつからないかつ前に出てくるところを探します。
ポイントは「音の尻尾」です。音が減衰していくところ。波形でいうと後ろの方が大きいと音というものは迫力が増します。音圧が上がるとも言いますよね。よくマスタリングの際に「音圧とダイナミクスのバランスをどうしよう」と悩むものですが, ミックスでの各楽器の処理の時点でこのバランスをとっておかなければマスタリングでどうこうするのは難しいです。ダイナミクス重視にするのであれば「音の尻尾」が聞こえるようにする。音圧重視なら「音の尻尾」が他の楽器と混ぜて聞こえなくする。といったように音の減衰する部分にこそ音圧ダイナミクスの悩みを解決する糸口があるんじゃないかな~と勝手に思っています。今回のエレピであればダイナミクスを重視したいので「音の尻尾」が聞こえるようにコンプのパラメータをいじっていきました。
リバーブはルーム系とホール系を混ぜています。ルーム系を混ぜると音が明るくなるので自然と音が前に出てきます。後は前に出過ぎて後ろががら空きになるのはいかんのでホール系でバランスをとっていきます。
エレピその2(Bメロで後ろからホワーとなっているもの), オルガンです。
この二つについては前回のピアノと全く処理が一緒なので割愛します。ポイントはサイドを上げて広がりを持たしつつ, ミッドを削ってボーカルやスネアとのぶつかりを防ぐです。これにつきます。
今回は短いですがここまでです。ピアノ編と被ってそんなに目新しいことは無いかなーと思ったので小休憩です。
次回はベース編になります。今回のベースには面白い処理を入れてみたのでワクワクして待っておいてください。