ミックス/マスタリング解説(マスタリング編)
ついにシリーズラストです。僕の主な活動であるマスタリングについて解説していきます。参考音源はこちら。
割と僕はマスタリングでやることが多いので画像を3パートに分けていきたいと思います。
バスコンプ(Slate Digital VBC-Red)→MS処理EQ(Pro-Q2)→マルチバンドコンプ(Ozone7)
【代替案】
Rcomp→REQ→C6
まずバスコンプで全体の馴染みを良くしていきます。普通はここでアタック, リリース早めのコンプで軽く潰して音圧を稼ぐのだと思うのですが僕はむしろ逆です。アタック遅め, リリース早め, レシオ1:1.5, ゲインリダクション1dbくらいでアタックを目立たせます。これをすることで2mixの時点では揃っていなかった各パートのアタック感をそろえ, 粒立ちをよくすることが出来るので音がモコモコと埋もれるというのを防げます。最後にマキシマイザーで潰していくときにこの作業をやっているかやっていないかでダイナミクスが全然変わってくるのでまず最初にこの工程をやっています。
次にMSEQです。ピアノ編でもお話しましたがこの作業を入れることで音の広がりと奥行きを出せます。特に大事なのがスネア辺りの処理です。スネアが手前に出てきすぎているとダイナミクスがないように聞こえてしまいます。なので600-700HzらへんのSを上げてスネアの残響部分を横に広げることで, 輪郭をぼやかさずに奥行と広がりを出していけます。「ちょっとスネアが後ろに下がったな」というポイントを探してみてください。また, 300HzのMを削ることでもスネアを後ろに下げれます。あとは高音のボーカルや金物の美味しい所を探してSを上げると気持ちよくなります。この辺は割とアバウトにやってます。
今回はギターを使ってないですが, 歪んだギターがある場合は2kHzのSを上げてMを下げるのも手です。歪み部分が広がり, 曲全体の横幅が大きくなります。
マスタリングといえばOzoneですがマルチバンドコンプを主に使っています。これはアナライザーを見ながら出ているところがあれば随時潰すというような感じですね。アタック50ms, リリース520ms, レシオ1:2くらいで使ってます。あまりコンプで潰し過ぎるとダイナミクスが消えていくのでなるべくEQで抑えるようにしています。
MS処理EQ(bx-digital v2)→Rcomp→EQ
【代替案】
REQ→Rcomp→REQ
「なぜにもう一回MSEQ?」となると思いますが, ここはもう個人的なこだわりの領域なので無くてもいい作業になります。音の分離感が良くなるように細かくいじいじしていくのですが一個おススメの処理があります。それは「60Hz~80HzのどこかをQ狭めでちょっと削る」です。今回は76Hzを削っていますが, これをするとキックとベースの分離感が格段に良くなります。是非お試しを。
ここで曲全体を潰して音圧を上げるコンプです。Rcompは優しーく音が潰れてくれるので好きです。アタックが早すぎると不自然な潰れ方をするのでアタック20msくらいにしておきます。
最後の微調整ようEQなのですが, 僕のマスタリングの基盤となる考え方は「音量を上げていっても耳に痛くないよう出過ぎた所を削る」です。なので作業中は段々と爆音にしていって, 耳に痛いなと思ったところをモグラたたきみたいにして削っていきます。この方法, 単純ですが結構使えます。デメリットは「うるせぇ!!!!!!」ってなるところです。
マキシマイザー×2(invisible Limiter)
マキシマイザー何使うかは好みめっちゃ別れますよね。僕はinvisible Limiterが好きです。一気に潰し過ぎると良くないので二段にわけて3dbずつくらい潰しています。RMSはピークが-7.0くらいになるようにしてます。
ということでマスタリング編でした。これでレントリリーのミックスマスタリング解説は終わりですが, 沢山反響があって嬉しかったので今後も解説は続けていこうかなと思います。恐らく次は歌ってみたミックスの解説をやろうかな~と画策しています。他にもプラグインの紹介などしていきたいと思っているので, もし記事に出てきたプラグインでもっと詳しく知りたいというのがあればツイッターにリプ下さればやらせていただきます。
それでは拙い文章を長々と読んでいただいたみなさん!!本当にありがとうございました!!