M/S処理でのEQの使い方②
今回は「キックを目立たせたい」「スネアの詰まりを解消したい」など具体的な目的に合わせたEQの使い方について書いていこうと思います。
まずは埋もれているキックを目立たせるためのセッティング
(M40Hz以下を上げる)
超低域は聴感上あまり聞こえてこないですが、曲のドッシリ感に関わってきます。しかしS成分の超低域は多すぎると耳が詰まった感じがして閉塞感を与えます。なのでMだけ上げることでキックの土台を補強できます。
(S80Hzを下げる)
キックの美味しい帯域ですが、S成分がギターなどと被ると聞こえにくくなるのでSだけ削ります。分離感が良くなり、スッキリとした印象になります
(M100Hzを上げる)
これは言わずもがな、キックのメイン帯域になるのでMだけ上げます
(M200Hzを下げる)
これはベースやスネアの低音部分と被る帯域です。ごちゃごちゃとしているとキックの輪郭が無くなるので削ってしまいましょう
(M1kHz, 4kHzを上げる)
キックのアタック成分ですので上げると目立ちますが、ボーカルなどもこの帯域にいるので上げ過ぎには注意しましょう
上のセッティングが王道ならこちらは邪道。キックを横に広げて目立たせる方法です。
(S40Hz以下を下げる)
後でSを上げるので超低域は詰まりすぎを解消するために削っておきましょう。
(S80Hzを上げる)
「 Mで目立たなければSで目立たせればいいじゃない!!」横暴極まりないものですが結構いけます。特にバラードやEDMでは低域が横に広がることで余裕がある空間が作れるので良い結果になることが多いです。テンポが速い曲にはあまり合わないかも。
(M100Hz, 1kHzを上げる)
省略!!
(S200Hz, M300Hzを下げる)
低域の横を広げた分他の楽器とぶつかりやすくなってるのでカット。以前の記事で書いた挟み込みEQの要領です。スネアとのぶつかりが気になるので。
次はスネアを目立たせたい時のセッティングです
(M300Hzを上げて、Sを下げる)
スネアの一番美味しい鳴りの部分です。Mを上げてSを下げることでスネアが前に出てきます。スネアの迫力が足りないときにオススメ
(M1kHz, 4kHzを上げる)
キックとアタック成分が被っています。なのでここを上げるとスネアとキックのどちらもが前に出てきます
スネアを後ろに下げたい、詰まりを解消したいときのセッティング
(S300Hzを上げてMを下げる)
Mを下げることでスネアは後ろに行きますが、存在感を失わせないようにSを上げるのがオススメです。横に音が広がるので空間に余裕が出来ますし
(S200Hz,400Hzを下げる)
挟み込みEQです。
(S4kHzを上げる)
300Hzを横に広げた分、アタック成分も横に広げます。
といった感じですね。ステレオEQでは音が全体的に変化してしまい、うまく特定の楽器だけを処理するのは難しいですが、MSEQでは可能だったりします。次の記事ではボーカルとギターについて書こうかなと思います。それでは~